単体ではなく、同じ物が二つあってはじめて本来の機能を果たす物というのはたくさんあると思います。
ドラムのスティックなどもそうですね。
ドラムを叩いてるときに片方がふっ飛んじゃったり折れちゃったりすると演奏できなくなっちゃいますんで、手の届く場所に予備のスティックを用意したりします。
片腕ドラマーのリック・アレン(Def Leppard)は別格ですが。
普段の生活のなかでは、靴下などが良い例です。
僕はだらしの無さでは足立区屈指である自信がありますが、特定の事柄に対しては極端に几帳面であり、特に靴下をペアで管理する部門に関しては、他の追随を許さないほどのクオリティーを誇っておりました。
洗浄の終わった各種洗濯物を、洗濯機の中から順次回収していくと、最後に残るのはほとんどの場合で質量の少ない靴下であり、約束事のように必ずペアで確認されるその様子は、世知辛いこの世の中で安らぎを感じられる、数少ない光景の一つでした。
しかしそんな平穏な日々に退屈すら感じていたある日、発見してしまったのです。
洗濯機の中でポツンとたたずむ、片方だけの靴下を。
そんな光景は、今までの僕の人生で見たことがありませんでした。
これは何かの間違いだ…
この僕が手違いで片方の靴下を紛失するはずがありませんので、これは何かの陰謀か、あるいは超自然的なプラズマ的なやつに違いありません。
とにかく僕はこの現実を受け止めることができませんでしたが、残された片方の靴下を放っておくこともできなかったので、仕方なく部屋の目立つ位置に吊るし、相方の帰りを待ちました。
しかし相方はいつまでたっても戻ってはきませんでした。
それから数ヵ月が経ったある日。そう、先日少し大きめの地震があったときです。
洗濯機の横にあった、詰め替え用のボディソープ等の乗った棚が、バランスが悪かったためか倒れてしまいました。
仕方なく、棚が倒れて散らばってしまった消耗品を片付けていると、なんと棚の裏から行方不明であった靴下の相方が発見されたのです。
相方はホコリまみれの瀕死状態でした。
しかし状態はひどくとも、ずっと胸につかえていたモヤモヤが吹き飛ばされ、僕の気分は爽快でした。
良かった。陰謀でも超常現象でもなかったみたいだ。
僕はそれぞれの靴下を再びペアの状態に戻し、そっと燃えるゴミの袋に葬り去ったのでした。
もうこのような大惨事を起こさないために、僕はもっと部屋の掃除とかをこまめにやろうと心に決めました。
めでたしめでたし
一行で済む日記を無理矢理ふくらますとこんな感じになります。
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